10/19(土)第二期SDGsみらい塾第3回目は、カトリック横浜司教区の山口通孝神父に以下の2つの目標についてお話していただきました。山口神父さまのお話は毎回人気で今回の高徳院でも満員御礼たくさんの受講者で熱気あふれる3時間半でした。

ゴール10『人や国の不平等をなくそう』
ゴール16『平和と公正をすべての人に』

人や平等をなくそう!平和な状態をみんなでつくりましょう!疎外した社会をなくしましょう! いったい、どうやったら一人ひとりが幸せを感じられるか…

世界には不平等が蔓延している。人の命は地球より重い、というがどれだけ多くの人間が虫けらのように死んでいってるか…

・フィリピンでは、水くみの手伝いのために学校へ行けない、ノートを買えないので学校へ行けない少女がいる。

・2015年スマトラ沖の大地震では、8000人がいっぺんに流され、3000~4000人未亡人が生まれた。その土地では、未亡人をみると不吉というジンクスがあり、年間50人の未亡人が自死に追いやられているという事実がある。

・1975年東チモールが独立宣言。その後インドネシアに占領され、東チモールの人口1/3が殺され、住宅90%が壊された。国と国の問題、民族と民族の問題。いろいろな要因から差別が生まれる。

・フィリピンで4日間で530人を診た歯科衛生士からの話。
フィリピンでは女性がメイドなど仕事につきやすいので、出稼ぎにいって家庭に母親のない家庭が多い。子どもの歯の健康をみる余裕はない。菓子パンやコーラを飲む。ずっと同じ歯ブラシを使う。また、フィリピンの歯科医は痛ければ抜く、入れ歯は儲かると、メンタリティにも問題がある。

・フィリピンの先住民族アイダ族やベトナムのジャライ族など少数先住民族への差別。先住民族を追い出すために、政府が森を伐採。先住民に対する差別。道をつくるために木を伐り始める、差別と搾取。文化、民族、歴史の中での不平等。それは、すべて人間が作ったもの。

◇グループワーク1 『不平等について』
①なくすことのできる不平等、なくすことのできない不平等にはどのようなものがあるか?
②なくすことのできない不平等は、どうしたらなくすことができるか?
———————————–(以下、いろんな意見がでました)
①なくすことのできない不平等

・生まれてくる国は選べない。そこに既にある不平等。生まれ持ったもの(宗教、慣習的なもの)変えるのが難しいのが無意識の差別
・本来、なくすことのできない不平等などないはず

②なくすことのできる不平等

・経済、教育、生活環境においての不平等はなくすことができるのではないか。根底はやはり「教育」。
・ジェンダー差別は、意識的なもので難しいが、解決できるのではないか。日々の生活、家庭内での教育で解決ができるかも。
・経済vs環境のジレンマがある。
・外国人への差別。日本で難民申請は30人満たない(1942人のうち)。
・今、ここに集まっている人たちだけでも、習ったことを人に伝えていく。興味のない人に伝えるのはとてもむずかしいが、まずは気軽に話し合えたら。
・海外からの支援も大事だが、自立できるような仕組みにもっていかないといけない。自立できる支援を行うことが大事。
・国民レベルでの交流が大事。韓国など国レベルでは喧嘩をしていても国民レベルでは交流があったりする。
・不平等をなくすには、まずは”いいリーダー”を選ぶことが大事。国や政府機関で解決できるようにするには、その国のトップが”良質”の人間であるべき。
・国籍、障害の有無、経済格差、教育、同和、LGBTQ。どれもなくせる差別だと思う。ただ時間がかかるものと、比較的短期間で解決しそうなものがある。
・課題解決を著名人へ呼びかけ、多くの人々に普及してもらう。

◇グループワーク2 『多文化共生とグローバルな人権感覚はどうしたら身につくと思うか? 平和学習とはどんな学習とは?』

・自国日本のこともっと知ろう!
・相手と自分の同じところをみつける。何かいっしょにできること、同調できることをみつける
・違いを尊重する。自分と違ってあたりまえ、意見が違うのは当たり前のこと
自分が正しいという考えにこ固執しない。意見のまったく違う人ところへ飛び込む勇気をもつ。
・異文化共生では「教育」が大事。交換留学、プレゼンなど、小さいときから異文化に触れること。海外へでて体験する、知ったことを伝えていく。
・日本では、米国のように学生自分からディスカッションをするという機会が少ない。ディスカッションのロールプレイで、相手の立場を知って社会課題について考えられるようにしたい。
・関東と関西の違い。関西のほうが「平和」について考える機会が多いように思う。地球人としての認識をもつ。また、いろんな国の教科書をみてみることも参考になると思う。
・模擬国連を体験しよう。それぞれの国の立場になって、どのような言い分があるか、他国と合わせていくにはどうしたらいいのか?体験ができる。

世界の不平等を解決するということは、個人の意志でどうなるものでもない、と思いがちですが、一人の小さな一歩が大きな波になることは、スウェーデン人の高校生グレタ・トューンベリさんが証明しています。
最後の山口神父さまが、「知って、考えて、堂々と伝えましょう!」とお言葉がとても沁み入りました。学んだことを堂々と伝えていこうと思います。