12/6に東京ビッグサイトで行われた”ゼロエミッション都市と気候非常事態宣言”~日本で最初のCED(Climate Emergency Declaration)に関するシンポジウム~に行ってきました。
日本で最初の気候非常事態宣言をだした長崎県壱岐市の白川博一市長のお話、それから鎌倉市からは東洋学園大学グローバル・コミュニケ―ション学部地球環境分野担当の古屋 力 教授が講演されました。
現在日本で気候非常事態宣言をだしているのは、壱岐市、鎌倉市議会、そして近々では長野県の白馬村です。CEDに対して、世界ではどのような動きになっているのか、東京大学名誉教授の山本良一氏の「急速に拡大する世界の気候非常事態宣言」をまとめてみました。
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・今年は、北海道のサロマで36.5℃、インドで50℃超え、ヨーロッパでは熱波、パリ43℃、フランス南部46℃など異常な気温上昇が世界各地でみられた
・7/31には、グリーンランドで500億トンの氷河が溶けた。
・全世界で7万人が住居を失った。
・日本でも300億円の農業被害、1兆円の損害保険の支払いがあった。
・台風19号のときは、荒川に決壊が一歩手前だった。
・従来は、Tipping Point、Climate Point(臨界点)が5℃と考えられていて、それには100年ぐらいかかるだろうと思われていた。しかし、今ではその臨界点が1.5℃といわれている。
・我々は既に予兆をたくさんみている。アマゾン火災、サンゴ礁の死滅、永久凍土の氷解など
・時間的余裕はもうゼロ!!!
1℃、1.5℃下げるには、2020年には温出効果ガスを減少に向かわせなければならない。
・温出効果ガスの排出量 2016年323億トン→2017年370億トン→2018年553億トン 減少の気配まったくなし
153国11,000人の科学者たちが気候非常事態を宣言した。
・150ヵ国、2460カ所 400万人が気候マーチに参加。独の若者が63万人に対して、日本の若者2000人。
・ジェーンフォンダさんは、気候ストライキに4回参加して4回とも逮捕された。しかし5回目ではももう逮捕されなかったという。
・本来、科学者が政治家を説得しなければならなかったのにできなかった。
それをグレタさんが一人で立ち上がった。科学者として恥ずかしい、と思った。今は、全世界で気候ストライキを支持する科学者が増えている。
「我々は革命のただ中にいる」
・北欧諸国のカーボンニュートラルの取り組みは非常に進んでいる。
Climate Emergencyのへの認識するだけでなく、「行動」。社会の全構成員が行動すべきとき。
山本先生が気候非常事態宣言をした国や都市を、写真とともに紹介してくれました。(以下は、WikiPediaからの抜粋)
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気候非常事態宣言をした国
- スコットランド (2019年4月28日)
- イギリス (2019年5月1日)
- ジャージー (2019年5月2日)
- アイルランド共和国 (2019年5月9日)
- マン島 (2019年5月10日 – 政府、2019年6月18日 – 国会)
- ホーリーシー (2019年6月)
- ポルトガル(2019年6月7日 – 国会)
- カナダ (2019年6月17日)
- フランス共和国 (2019年6月27日)
- スペイン
- アルゼンチン
その他の地方政府・自治体
- アメリカ合衆国:22の自治体、最も顕著なのはニューヨーク市 (2019年6月26日)、 ヘイワード (2019年1月15日)、 サンフランシスコ市とチコ (2019年4月2日)
- オーストラリア:35の自治体、 シドニー市 (2019年6月) 、メルボルン市(2016年7月16日、生物多様性非常事態宣言も)、Darebin (2016年12月5日)、 17以上の町(2019年4月30日)
- カナダ:448町(2019年8月) 、ケベック州(2018年8月)、バンクーバー(2019年1月16日)、オタワ(2019年4月24日))
- フランス:9の自治体、パリ市(2019年7月9日)、Mullhouse (2019年5月9日)
- イギリス:315の自治体、ロンドン、バーミンガム市、ケンブリッジ、ハンプシャー、ケント、リバプール
- スイス:13の自治体、バーゼル=シュタット州(2019年2月20日)、ジュラ県、ヴォー州 、リースタル 、オルテン 、チューリッヒ(2019年5月13日)、ベルン(2019年5月27日)、ルツェルン(2019年6月24日)、デレモントの各都市
- アイルランド:12の自治体
- スペイン:2の自治体、カタルーニャ地方(2019年5月7日)
- イタリア:17の自治体、Acriの町(2019年4月29日)、ミラノ、ナポリ (2019年5月)、およびLuccaの町
- ドイツ:37の自治体、コンスタンツ、ヘルフォード、ハイデルベルク 、キール 、ミュンスター 、テルグテ 、ドレンシュタインフルト 、エアランゲン 、ボーフムの各都市アーヘン (2019年6月19日)、グラートベック 、ホルストマール 、ザールブリュッケン 、ヘルネ 、ノイミュンスター、アーヘン 、ブラヒタール、リュッセルハイムアムマイン 、ヴィースバーデン 、フェーマルン、レーヴァークーゼン 。
- ニュージーランド:13の自治体 、 カンタベリー地方とネルソン市(2019年5月16日)。 オークランド (2019年6月11日)。ウェリントン (2019年6月20日)
- オランダのアムステルダム市
- ベルギー:1の自治体
- チェコ:1の自治体
- オーストリア:7の自治体
- ポーランド:4の自治体、ワルシャワ
- フィリピン:1の自治体、バコロド
大学
- ブリストル大学(イギリス, 2019年4月17日)
- ニューカッスル大学(イギリス, 2019年4月18日) 2040年までにCO2排出を正味でゼロ
- グラスゴー大学(イギリス, 2019年5月2日) 2050年までに正味でゼロ
- キール大学( イギリス, 2019年5月3日) 2030年までにカーボンニュートラルを目標
- バルセロナ大学(スペイン, 2019年5月16日)2030年までに50%削減
- リンカーン大学(ニュージーランド, 2019年5月16日 )
- エクセター大学(イギリス, 2019年5月20日) 2026年までに2005年のCO2排出を50%削減
- サザン・コネチカット州立大学(米国, 2019年5月30日)
- イースト・アングリア大学(イギリス, 2019年6月5日) 気候と生物多様性の非常事態宣言
- デ・モントフォート大学(イギリス, 2019年6月21日)
- バンガー大学(イギリス, 2019年6月21日)
- ファルマス大学(イギリス, 2019年6月24日)
- マンチェスター大学(イギリス, 2019年7月2日) 2038年までに正味でゼロカーボン
欧州連合
欧州連合議会が気候非常事態宣言を採択(2019年11月28日)
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2019年5月に、英国が初めて「気候非常事態宣言」を議会で採択して以降、同年11月までに11か国が宣言。28ヵ国を代表する欧州議会も宣言。
先進国の主要都市含む25か国約1200の自治体で宣言しています。大学や病院でも宣言を出しています。
日本では、以下4か所のみ
・9/25 長崎県壱岐市
・10/4 鎌倉市議会
・11/6 千葉商科大学
・12/3 長野県白馬村
日本民族はいったい何をしているのか?!!
あらゆる組織、団体、個人がすべて、カーボンニュートラルへ向かわなければだめなのです。
・ブータンは75万人の都市。森林は70%
今は、カーボンはマイナス。マイナスということは、排出される二酸化炭素より多くのものを、森林が吸収してくれているということ。しかし、今後もカーボンニュートラルを続けます!と宣言している。
・日本は、こういった世界の大潮流に遅れることなく行動しなくてはならない。小泉環境大臣は、日本全国の自治体、行政に気候非常事態宣言をしほしい、と電話をかけまくっているそうだが、主な自治体がすべて宣言をしてくれたら、4300万人(日本の1/3)が宣言したことになる。
・先日の新宿のマーチ参加者は600人、署名は独では40万人の集まったのに日本ではたったの5000人。国民が盛り上がらないと政府は動かないのです。
トップダウンとボトムアップの両サイドからの動きが必要なのです。
★★★★★★★★★
日本でのマーチ参加者、署名の少なさの背景には、気候危機に対する危機感や緊迫感を持っている人が少ないからだと思います。直接被害をまだ受けていないことがために「想像」ができない。自分事として考えることができない。
危機感をもつためには、いろんな人の話を聞くことが必要。特に科学者。グレタさんも「科学者の声を聞いてください!」と言っているように、政治家は嘘ばっかりだけど、科学者は真実を言っています。真実を知ると、普通の人間は、のんびりと構えてはいられなくなる。
国や自治体がなんとかしてはくれない、周りが動くのを待っていては何も変わらない。
自分が動かなければ
行政や県や国を動かすためには、自分が動く
市民の力が国を動かす
日本人よ!めざめよ!
※以下から署名ができます。