12/14(土)第二期SDGsみらい塾第5回目は、グリーンピース・ジャパンの石井祐介さんとWWFジャパンの大倉寿之さんに、生物多様性について話していただきました。

ゴール14『海の豊かさを守ろう』
ゴール15『陸の豊かさを守ろう』

◆シロクマ
北極は、冬が温かくなっていて、エサが少なくなっている。シロクマは激減、絶滅危惧種。キリンも人間の密漁により絶滅危惧種に。
28,338種の生物が今、絶命危惧種(UNEP)。1,000,000種のうち25%が危機に瀕している。

異常気象、温暖化、気候危機(世界では気候変動ではなく、Climate Crisis)が、生物多様性に多大な影響を与えている。原因は、人間の生産と消費。SDGsの「誰一人取り残さない」は、人間だけのものか?

◆サンゴ礁
過去150年で半減。このままいけば、1%しか残らない。

◆マグロ
最近スーパーでみられるようになった「メジマグロ」これは、マグロの赤ちゃん。大人のマグロがとれなくったため、マグロの赤ちゃんまでを乱獲するようになった。そして、産卵にきているマグロを一網打尽にしている現実。
マグロの養殖はかなり難しい…初期資源を100%としたら、今は2.6%しかいない。

◆ミツバチ
食物の1/3が、ミツバチなどによる昆虫の受粉によってできている。
そのミツバチがネオネコチノイドという農薬によって、激減している。
ミツバチがいなくなったら人類の存続は危うい。

◆ウナギ
みんなが食べる鰻は稚魚を大きく育てた完全なる天然もの。養殖は完全にはできていない。ウナギのメガマーケットとなっている日本。しかしながら、昨年も2.8tが廃棄されている。日本人が喜んで食べているから、東南アジアの養殖者がせっせと稚魚を獲る。価格は常に上昇。

◆オランウータン
ボルネオでアブラヤシのプランテーションが莫大に増えた。
今まで森に棲んでいたオランウータンは、生きる場所がなくなった。
2秒毎にサッカー場1個分の熱帯雨林がなくなる計算で開発が進んでいる。
パーム油は、私たちスナック菓子、アイスクリーム。チョコレート菓子、カップ麺、クッキーやビスケット、マーガリン、レトルト食品、洗剤、、石鹸、シャンプー、化粧品など様々なものに使われている。

森を燃やして、アブラヤシのプランテーションをどんどん作って、その結果、
1日に25匹のオランウータンが死んでいる

◆世界の森林状況
世界で、1年に660万ヘクタールの森林がなくなっている。
日本は森林国。2/3が森林。それなのに、
輸入材 65.2%
国産材 34.8%
なぜに、輸入材を使うか?
人件費等かんがえると全体的なコストが安いから。

最大の紙の輸入先は日本。コピー用紙もそう。
トイレットペーパーひとつ買うにしても、これは違法伐採から作られたものではないか、など考えてみてほしい。森林破壊の多くは、地元のためでなく輸出される。

スマトラ島の森林も減少している。日本へ輸出。
オランウータン、テングザルなど生きられない。

◆エビ、サーモン
エビはインドネシアから。サーモンはチリから。
チリ産のサーモンは危うい。もともとチリでサーモンは取れなかったが、日本人とても好むため養殖を始めた。しかし、赤い色をつけるため、脂をのせるため、いろいろな工夫・操作が行われている。現地の人々は食べないと聞く。

◆2050年までに再生可能エネルギーを実現しよう!という国が65ヵ国から84ヵ国までに増えた。がしかし、日本はこの中に入っていない

◆食品ロス
牛肉は、牛を育てるのに穀物や水を多く使う
肉食をやめよう! 減らそうという考え方
食べ残しをやめよう!
日本では、年間2,759万トンの食品廃棄物等が出される。
このうちまだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」が643万トン。これは、世界の食糧援助量(年間約380万トン)の1.7倍に相当する。一人当たりお茶腕約1杯分(約139g)の食べもの”が毎日捨てられていることになる

人間的な生活をすればするほど環境負荷が大きくなる
豊かであっても環境負荷の小さい暮らしをめざさなくては。

◆化石燃料
再生エネルギー 太陽光、水
なぜ、日本が化石燃料をやめないか?
石炭の輸入元がオーストラリアで比較的安定しているから
石油は中東で不安定
それに、日本の石炭技術を輸出できるから

◆HDI Human Development Index
北欧が上位
※人間開発指数とは、各国を人間開発の4段階に順位付けするために用いられる平均余命、教育及び所得指数の複合統計
日本は10位以内に入っていない

◆循環型社会
産業革命以来、経済は、「取って」「作って」「使って」「捨てて」というリニア(直線的)型経済だった。これからは、早急にサーキュラー(循環)型経済にしていかなければならない。
例えば石油由来をとうもろこし由来にしたとしても、使い捨てているのではいけないのではないか…

◆認証制度
①FSC認証:紙、材木に関する認証制度。木材を生産する世界の森林と、その森林から切り出された木材の流通や加工のプロセスを認証する国際機関。森林の環境保全に配慮し、地域社会の利益にかない、経済的にも継続可能な形で生産された木材に与えられる。
企業でもFSCマークをとるところがふえている。
伊勢丹のチラシやNTTのハガキ、ネピアのトイレットペーパーもFSCマークがある。いろんなものマークがあるか探してみてほしい。ノートを買うときも、FSCマークがあるかどうかみてほしい。

②MSC認証:海のエコラベル。水産資源と環境に配慮した漁業で獲られた天然の水産物の証。

③ASC認証:責任ある養殖水産物のための認証。これはイオンが強い。養殖の魚は、きちんとしたエサで育てられているか。他の産地のものが混ざっていないかなど審査が通ったものの証。

◆フットプリント FootPrint(地球に残した足跡)
環境負荷を数字に表したもの。自然の恵みより人間の消費量が多くなると、負荷が大きすぎるということ。先進国の人、途上国の人、大富豪、貧しい人、大家族、小家族など、ひとりひとり違う。

「わたしの暮らしは、地球何個分?」さぁ、調べてみよう!
http://www.ecofoot.jp/quiz/index.html
日本人の平均は、2.3個分。日本に住んでいるだけで、すでに地球に負荷がかかっていることがわかる。

◆ワークショップ
最後に各自でどんな世界になったらいいか、優先順位を決めるWSを行った。どれもこれも大事なもの。順位をつけるのは難しかったけれど、全項目が実現したらいいのになぁ、と思いました。
登壇いただいた先生方は、世界のいろんな現場へいって”目撃者”となり、それをみんなに伝えていくことをしているそうです。見てしまったら、知ってしまったら、行動する、の理念で動いている、ということばに心動かされました。
知識武装はもちろん大事なこと。でも知識をふやすだけでなく、やはりそれを周りに知らせると同時に「行動」に移すことが大事。
例えば、赤ちゃんマグロであるメジマグロをみたら、スーパーのお客の声でだしだしてみる。もし、10人のお客から同様の声があったら、そのスーパーではメジマグロを置かなくなるかもしれない。変だとおもったら、声をあげていくことが大事。
しかし、スーパー行っても魚や肉を買うのに非常に時間がかかる。お刺身コーナーをみても、いつまでこの色とりどりの魚が並ぶのだろう…いろんなことを考えてしまって…結局のところ買わずにいたり…
私たちは他の生き物の命をいただいて生かされているわけで、やはりもっと謙虚に感謝の気持ちをもって食さないといけない、とあらためて感じました。