令和2年1月18日(土)第二期SDGsみらい塾 第6回目は、共同通信社のジャーナリストである井田徹治さんと、プラスチックフリージャパンの小島政行代表に、サーキュラーエコノミーについて話をしていただきました。

ゴール12『つくる責任 つかう責任』
ゴール13『気候変動』

 

◆気候危機

・気候変動ではなく気候危機の今、一刻も早い抜本的な改革が必要。

・世界のCO2の排出量は中国が圧倒的に多いが、一人あたりにすると中国は圧倒的に少ない。日本は、全体的には第5位で3.7%だが、一人当たりの排出量は2位。いかに、日本人のライフスタイルには無駄が多いか。

・米軍は、安全保障上の問題からも温暖化についてとても熱心である。

・2015年はとても大事な年。9月にSDGs、12月にパリ協定が結ばれた。
今は、1.1℃産業革命以前よりすでに気温が上がっている。上限が2℃から1.5℃の上昇に変わったが、この1.5℃というのがとても重要な数字になる。とにかく、大気中の温度の上昇を阻止するためにも化石燃料文明を終わりにさせないといけない。2050年には、脱炭素の革命を実現させなければならない

・国連は、新しい石炭火力のつくるのをやめようと言っているが、日本は新たに10基をつくろうとしている。現在すでに48基。
2050年に、脱炭素社会を実現するためには本気で再生可能エネルギーへの大転換を迫られている。

・モルディブ、ツバルなど南太平洋の島は危機。モルディブの人はほとんどCO2を出していない。なのに被害を受けている。地域間の不公平が出ている。先進国の出したCO2で、貧しい国が多大な被害を被っている。Climate Justiceが必要。

・サンゴの白化。サンゴは1.5℃で97%減少。2℃上昇したらサンゴはすべて死んでしまうだろう。

◆森の破壊

・木は育つときにCO2を吸収する。大きく育った木は、もうあまりCO2を吸収しない。よって、それを燃やすと大量のCO2を排出する。しかし、これはある意味カーボンニュートラル。だから、新しい木を植えることはとても意味あること。

・減少していく熱帯林や天然木。一面のパームやしの森。単一栽培のあぶらやしのプランテーション。こうなると、動物も人間も中へは入れず、熱帯林の最大破壊となってしまう。

・また、油やしの収穫には現地人の厳しい労働がある。そして、ずっとそこに住んでいた原住民は裁判に負けて、その土地を追い出される。家をブルドーザーで壊される→人権侵害

・ゴムのプランテーション
13歳の児童労働、奴隷労働がいまだに存在する。未明2時から木の樹液をとる仕事。そのゴムの7割は車のタイヤになるという事実。

◆土地の劣化

・毎年1200万ヘクタールの土地(農地)がなくなっている。熱帯林の消失と同じ量。

・土壌の塩害化。パキスタンでは地下から塩がでてくる。こうなると農業には使えない。中央アジアのアラル海が今や砂漠、生き物はほとんどゼロ。綿花栽培のため灌漑水を大量に取りすぎた結果である。

・ニューカレドニアはニッケル開発による赤土が海へ流れ込む。

 

◆なぜ日本は変わら(変われ)ないのか

・欧州ではできている、なぜ?

  • 政治家がりっぱ。Green Partyがちゃんとある 
  • 環境教育のpriorityが高い
  • 環境大臣のステイタスが高い(日本は逆)。欧州では環境大臣になった人が、首相、副首相になっている。女性の閣僚も多い。
  • 市民活動のベースができている欧州
  • 市民の声を大きくする、臨界点を超えると社会が変わる。国の政策よりも自治体や市民活動が力をもってくる。

・carbon pricing(石炭税)があれば、石炭火力が減少するのに、構造的な問題、役人が大転換をできない。

  • 日本では、「安い石炭を使うしかない。再生可能エネルギーは高いし不安定」という古い考えがいまだに根強い。一度使った政策をなかなか変えられない、目先のことしか考えられない日本。
  • 再生可能エネルギーが嫌いな人は、再エネでは保持できないという
  • 日本のシステムが阻んでいる

◆プラスチック問題

・セルビア ごみため状態
 モルディブにいるごみ労働者は、バングラデッシュからきた移民の労働者
→ 人権の危機 人権や貧困問題をはらむ

・日本は一人当たりの包装ごみが世界で第2位
プラごみ損失1.4兆円(観光、漁業に悪影響)

・日本は、240万9000台の自販機があるという。それらが全部24時間稼働

・日本人のプラごみの7割は燃やされている(CO2の発生)
(サーマルリサイクルを含む)※OEDはサーマルリサイクルは認めていない
マテリアルリサイクルは3、4%にすぎない。

・太平洋ごみベルト
1兆8000億個 7万9000トン漂う。日本製のゴミが30%

・1億3000本のビニール傘が生産される日本。
2004年148億本→2016年227億本 
回収率は2年連続で低下。こういったものは、メーカーの責任であるべきではないか。

・容器包装リサイクル法
    2500億円(自治体負担=税金)
     380億円(企業負担)
責任所在があきらかにおかしい
日本は、「拡大生産者責任の不在」EPRを徹底すべきである。

・抜本的な改革、そして生物多様性の重要性をわかってほしい。
経済と環境の両立はもう時代遅れ。環境が限界点にきている。環境を破壊したら、経済も社会も成り立たないのだから。(プラネタリー・バウンダリーでは、気候変動や生物多様性ではすでに限界値を超えている)

・BaU Business as Us

ual 今までと同じことをやっていたらだめ。相応な覚悟で取り組まなければ。総合的な改革が必要。1つだけのつまみぐいは許されない。

井田さんは終始にこやかにやさしい口調でお話してくれたが、内容は厳しく世界の情勢をストレートに伝えてくれたと思う。このようなTVや新聞では流れない情報をみんなが知るためにも、NGOとジャーナリズムの連携はとても大事だと感じた。