9/21(土)第二期SDGsみらい塾第2回目は、アジアの女性と子どもネットワークの事務局長 山本博子さんに以下の3つの目標についてお話していただきました。

ゴール4『質の高い教育をみんなに』
ゴール5『ジェンダー平等を実現しよう』
ゴール6『安全な水とトイレを世界中に』

17の目標はどれもすべてつながっているが、この4,5,6は特に関連性が強い。MDGsの8目標で取り残してしまった課題ともいえる。貧困率、妊産婦死亡率、トイレの利用どれも目標を達成できておらず、もっと人間中心の社会開発をめざしていかなくてはいけない。

取り残されている人たちがいることが分かった
2016年リオ20で、気候変動、生物多様性、地球保護、そして持続可能な発展。
そして2015年9月、目標1~6に新たに経済、環境がプラスされたSDGsへ。「だれひとり取り残されない」

ゴール4 教育

■ラオス(アジアの中の最貧国)では、一人1冊の教科書がない、5-6人で回し読み。家での予習、復習などできない。教育が受けられない子どもは、全世界75億人のうち6100万人いる、そのうちの52%が女子。

教育の受けられない理由として

  1. 貧困
  2. 宗教的に外出がままならない
  3. 近くに学校がない
  4. 安全な水が手に入らない
  5. 安全に守られていない教室や通学路
  6. 学校にトイレがない

サブサハラアフリカでは、女子の初等教育率は74%、中等教育就学率は24%、世界で一番低い

■児童労働の現実もある。児童労働とは、18歳未満の健全な成長を妨げる労働のこと。学ぶ機会を妨げる労働のこと

  1. 子ども兵士
  2. 子どもポルノ
  3. 子ども買春
  4. 麻薬
  5. 日干し煉瓦(過酷)
  6. 砂金をとる(危険)
  7. サッカーボール作る(子どもの手で作ったサッカーボールは丁寧で柔らかく人気がある)児童労働は原価が安いので利用されてしまう。

私たちは、なぜ100均で安く買えるのか?
その背後には社会の中にいろんな問題があるという認識を一人ひとりが持たなくてはいけない。

■識字率の低い国。文字の読めない大人が7億8100万人(10人にひとり)そのうち2/3は女性。

  • アフガニスタンは、読める人が32.8%
  • インドは、71.2%

文字が読めないということは命にかかわること
日常生活の不安(水なのか、薬なのか、毒なのか)
安定した仕事につけない⇒貧困の悪化⇒貧困から抜け出せない

しかし、女子の識字率が高まるといろいろなメリットがあることが証明されている。

  • 母親が読み書きできると5歳未満の乳幼児の死亡率が40%も上がる
  • 女子の就学率があがるとHIVの感染率が下がる
  • 初等教育を受けたっ女性が農作業をすると生産性があがる
 


ゴール5 ジェンダー

ジェンダーとは、生物学的な男女の分類でなく、社会的・文化的に構築された性差をいう。ジェンダーの不平等は、国家の発展、不平等につながり、不利益をもたらす。

■女性が弱い立場の状況の国

100:130⇒女:男の人口比率
女の子だから生むのをやめる国(中国やインドなどのアジア)では、女性が少ない。男児選考の国。

なぜ女子だと生まれてこられないのか?

  • 跡継ぎにならない
  • ダウリーという慣習(嫁が嫁ぎ先に莫大な資金などを送らなければならない)
  • サティ(亡くなった夫が焼かれるとき、妻も一緒に焼かれる習慣)
  • 児童婚 7億人以上の女性の18歳未満(そのうちの3人にひとりで15歳未満)

■若年妊娠
世界の妊産婦の死亡 30万3000人/年(毎日800人の死亡)その66%がサハラ砂漠以南

  • 保険サービスを受けられない
  • 性差別 経済的理由で医療を受けられない
  • 男性の医師に治療を受けられない

日本は、12000人にひとりの死亡だが、シエラオネやアフガニスタンは7人にひとり

■母であることのペナルティ
先進国より途上国の方が多い。世界的に女性は男性の2.5倍無償労働

  • アイスランド、北欧3国がジェンダー平等で上位
  • ウガンダ8位(内戦で男性が死んでしまった
  • 米国 40位
  • 日本 110位

17の目標の中で、ジェンダーが一番難しいともいわれている理由に、人の頭の中、習慣を変えることはとても難しい

LGBTは、目標10の中に含まれる

ゴール6 水とトイレ

  • 7億8500万人(10人にひとり)が安全な水が手にはいらない。
  • 1年に30万人が、不衛生な水を飲んで死亡している。
  • 地球は70%が水だが、そのうち飲める水は、バケツにティースプーン1杯だけ。他は海水や氷河
  • 不衛生な水には、菌や寄生虫の卵(メジナ虫病)がある。仕方がないので水を買う⇒お金がなくなる⇒貧困の連鎖

■必要な水の量

  • 生活用水として 300L
  • 飲み水 2L
  • トイレ 13L
  • シャワー 12L/1分間
  • 歯磨きのとき30秒流しっぱなしで 6L

■食品自給率 

日本は40%。そして、間接的に世界の水を大量に使っている。
仮想水(バーチャルウォーター)牛肉やとうもろこしに莫大な水を使っていて、それを輸入してしている。自給率の低さは先進国では際立つ。仏は200%。低いと言われているスイスでも、50-60%。

1961年では、自給率は78%あった日本が、1998年に40%になった。それは、食生活の変化、小麦など外国の穀物を食べるようになったこと。

■トイレの衛生設備を持てない人は、24億人(3人にひとり)
9億5000万人は屋外排泄
感染症、環境汚染の問題がある。

石鹸や水が備わった基本的な手洗いの設備が家にない環境、手洗いもままならい人は、30億人(2.5人にひとり)​

■まとめ

ジェンダーのところで、ひとつクイズが。
6枚のカードを順番に並べてスト―リーを作るのですが、話に矛盾が…いやいや、それも私たちのジェンダーの刷り込みによること、と分かりました。みなさんは、これを見て分かりますか? (回答は一番最後)

3時間半の講義でしたが、途中でマララ・ユフスザイさんの国連でのスピーチを見ました。女児の教育を求め声をあげたことによりタリバンより銃撃を受け、九死に一生を得ました。それでもひるまずに女子の教育を受ける権利を主張し続け、ノーベル平和賞をとりました。

1992年のセバン スズキさんから始まり、マララ ユフスザイさん、そして昨年からのグレタ トゥーンベリさん、いずれも10代の女子が本気で涙ながらに声をあげています。生命の、地球の、危機感を感じるのは男性より若くて純粋な女子なのだと思います。何度スピーチを聞いても涙がでてくるのは、「感動」と、何もしない大人たち(自分含めて)、なにも変わらない現実への「腹立たしさ」からでしょうか。
そんな悠長なことに言ってる場合でなく、私たちも声をあげて行政、県、国を動かしていかないと、もう時間がありません。無関心は罪悪です。

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【クイズの回答】
・交通事故がありました
・トレーラーが、男性とその息子を轢きました。
・父は即死でした。
・息子は病院へ運ばれました。
・外科医が駆け付けて子どもを一目みると
・「息子です!私の息子です!」と叫びました。

ここでみなさん、「父は即死なのに、なぜ私の息子です!と言ったのかな?? 父が二人いるのかしら…」と思いませんでしたか?
そんなことありませんね…

そうです!
外科医はお母さんだったのです。

”外科医”と聞くと、勝手に男性を思い浮かべてしまう私たちの刷り込みがあるのです。ここでもジェンダーの不平等があるのです。